AIを使えば、投稿の下書きを作る手間は減らせるようになりました。それでも「続けられなくてしんどい」と感じる人はいます。私は、そのしんどさの正体は、量の多さよりも「数字」との距離のとり方にあるのではないかと考えています。
現場で実際に起きていること
私はCWAの講師として、4年間で約450名の課題を添削してきました。いま担当しているSNS運用講座に、noteを始めて約1週間で有料noteが売れた受講生がいました。始めたばかりで有料noteが売れたという成功体験は、その人にとって大きかったのだろうと感じています。
一方で、うまくいかなかった受講生からは「発信しているけど反応がない」「続けられなくてしんどい」という話をよく聞きます。
では、売れた人はもう悩まないのかというと、私はそうは思っていません。1本売れたあとに「もう1本売れるまで」と考えはじめたとき。noteを収入源と考えて「月何本売らないといけないか」という話になったとき。私は、そこがしんどい部分なのではと感じています。
うまくいかなかった人にも、売れたあとの人にも、それぞれのしんどさがある。そう考えると、しんどさの入り口は、結果の良し悪しとは別のところにあるのかもしれません。
私自身も、続けることに時間をかけてきました。毎朝6時のVoicy配信は、収録と準備を合わせると1回30分ほどかかり、半年で約90時間を投じています。2025年6月のVoicyの放送で、この数字を話しました。
なぜそうなっているのか
続けることには、2つの意味があると私は考えています。そして、この2つはとても混ざりやすいものです。
- 打席に立つための継続:出す回数が増えれば、届く確率も、上達も、出会いも増える。これは資産になる
- 記録のための継続:連続日数そのものが目的になる。休むと「途切れる」ので、質が落ちても止まれなくなる
はじめは誰でも、打席に立つつもりで出しはじめるのだと思います。でも、連続日数や売れた本数のように、数えられるものが目の前にあると、いつの間にか、その数字を守ることが目的にすり替わってしまう。1本売れたあとの「もう1本売れるまで」、収入源として考えたときの「月何本売らないといけないか」は、その入れ替わりが起きやすい場面なのだと私は受け止めています。
AIとの付き合い方も、ここにつながっていると感じます。私はXやnoteで、AIを2つのやり方で使っています。ひとつは、リサーチでニーズを調べて投稿にしてもらい、構成して自分らしい言葉に変えるやり方。もうひとつは、自分の感じたことを壁打ちして投稿にしてもらうやり方です。どちらの場合も、投稿する前に、それが自分の言葉になっているかを考えています。
AIを使えば、出す回数を増やす手段は手に入ります。だからこそ、その1本を何のために出すのかを、数字より先に確かめておきたいと私は思っています。
私はこう考えている|打席に立つことと、数字に取り憑かれることは違う
私がいま大切にしているのは、打席に立ち続けることと、数字に取り憑かれることは違う、という考え方です。続けるのは打席に立つため。記録そのものが目的になった瞬間に、継続は自分を削り始めると思っています。
見分け方はシンプルで、「今日はこれを届けたい」が先にあるか、「今日で◯日目だ」が先にあるか。後者になっていたら、それは打席ではなく、記録を守る作業になっているサインです。
連続日数を人に言いたくなったときも、目的が記録の側に寄っているサインだと私は受け止めています。
そして、これは意志の弱さの話ではないと私は考えています。だからこそ、気合いで踏みとどまるのではなく、感覚に頼らず、あらかじめルールとして持っておくほうがいいと思っています。
じゃあ、どうするか|数字から降りるための3つの工夫
ここからは、私が数字から降りるために持っている工夫を3つ紹介します。どれも、あらかじめ決めておけるものです。
1. 始めるときに、終わりの条件もセットで決めておく
継続の企画を始めるときは、終了条件を一緒に決めておく。「とりあえず1年」と決めたなら、1年でいったん区切る。連続記録をどこまでも伸ばしていくのではなく、区切りを先に置いておくイメージです。
止まった月があっても、それも継続の一部として数えていいと私は考えています。
2. 成果を、ほかの人と比べられない物差しで数える
数字に取り憑かれない代わりに、何を成果として数えるのか。私は2025年7月のVoicyで、続けたことの成果として2つを挙げました。
- つながり:続けたことで会えた人、声をかけてもらえたこと
- 思考の整理:話すために、考えを言葉にしていく過程そのもの
どちらも、ほかの人と比べられない指標です。再生数やフォロワー数は比べられてしまうから、取り憑かれやすい。比べられない物差しを自分で用意しておくことが、数字から降りるための現実的な方法だと思っています。
受講生に継続を勧めるときも、私は日数ではなく、打席の数で話したいと思っています。何日続いたかより、何回打席に立ったか。そのほうが、休んだ日があっても、積み上げたものが消えないからです。
3. 出したら閉じる。数字は月に1回まとめて見る
私が続けるために使っているのが、置き手紙のような出し方です。投稿したら、すぐにSNSアプリを閉じて、しばらく開かない。「これ、読んでくれたらうれしいな」という気持ちで置いておきます。見返さないことで、反応に振り回されずにすみます。
投稿した直後の反応は確認せず、分析は月1回の振り返りにまとめる。反応を気にしないように気持ちで頑張るのではなく、見ないという行動で距離をとる方法です。
あわせて、書く前に1人の読者を思い浮かべて、宛先を一人に絞るようにしています。誰に向けて書いているのかを、ぼやけさせないためです。
でも大丈夫だと思う理由
ここまで、数字に疲れてしまう話を書いてきました。でも、私は悲観していません。
約1週間で有料noteが売れた受講生も、反応がないと悩んでいる受講生も、出した時点で、もう打席には立っています。売れた本数や反応の数は、増えることもあれば減ることもあります。けれど、立った打席の数は減りません。
私自身、Voicyを続けながら「なかなかうまくいってない」という自覚がずっとありました。それでも、つながりと思考の整理という物差しを持っていれば、注いだ約90時間を、うまくいかなかった時間とだけ数えなくて済む。私はそう思っています。
休んでも大丈夫、と自分に言ってあげていい。止まっても、また戻ってくればいいだけです。
もし今、「月何本売らないといけないか」という数字が重たく感じているなら、少しだけ物差しを持ち替えてみよう。数字を見るのをやめる必要はありません。数字の手前に「今日はこれを届けたい」を置き直すだけで、発信はもう一度、自分のものに戻ってくると思います。
これから発信の場所を選ぶ人や、どこで打席に立つかを考えている人は、XとnoteをどうSNSとして使い分けるかをまとめたこちらの記事もあわせて読んでもらえたらうれしいです。
→ WebライターにおすすめのSNSは?X・noteの使い分けと注意点
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